(図書室にて)
「キリコ先輩は人間界の呪いのビデオに興味ありませんか?」
図書館で勉強しているキリコ先輩に声をかけると、世にも恐ろしいものを見るような目でみられてしまった。
ふるふると力無く首を振るキリコ先輩に無理矢理見せるのはなんだか申し訳ない気がしたので、その隣で何故か仏教文学の本を読んでいるライチ先輩を見た。
「ライチせんぱ「断る」
あっさり振られてしまった。以前、後輩のポリスくんと一緒に強制参加させてしまったのをまだ引きずっているらしい。
闇の魔術が得意なのに幽霊は駄目なのだろうか。不思議だ。
キリコ先輩が捕まえては頭脳労働をさせている小悪魔たちだって、グロテスクな見た目をしている奴が多い。でも幽霊は苦手らしい。なんだか理不尽だ。
評判のいいジャパニーズホラーだというのにポリスくんだけと見るなんてもったいない気がする。
と二人に言うと、もったいなくないからさっさと見てこいと返されてしまった。
もうちょっと粘ってみようかと思ったけれど、先輩たちの使い魔である妖精さんと鷹が微妙な表情になっていたのでやめた。
(廊下にて)
カヤノちゃんが大きな鉢植えを抱えている。彼女の綺麗な髪に土が付いているので、そっと払った。
「ありがとうございます」
「なんか大変そうだけど、それどうしたの?」
聞けば珍しい花を咲かせる植物らしい。冬の時期は暖かい場所に置かないといけない種類で、鉢植えの大移動を行っているとか。
植物と意思疎通できる彼女は笑顔で寒いって叫ばれてしまってと言う。想像すると何だか怖い。
植物トークを少ししたあとで、ポリスくんを見かけなかったか聞いた。
「さっきまで手伝ってくれてたので、たぶんまだ裏庭に」
「ありがと、じゃあね」
カヤノちゃんにもジャパニーズホラーに興味はないかを聞いてみたら、これから植物の肥料を買いに行くらしい。残念だ。
寒いから気をつけてねと声をかけるとにっこり笑ってくれた。可愛い。
(裏庭にて)
ポリスくんは裏庭でコウモリと戯れていた。
「……あ、先輩」
「前に言ってたジャパニーズホラー持ってきたよ」
私が取り出したDVDを見て、ポリスくんのテンションは少し上がったようだ。
どうしてDVDになってもこのシリーズ呪いのビデオって名前なのか、なんてどうでもいいことを話しながらとりあえず図書室に行く。
再生機器は私の部屋にあるのだが、ポリスくんがライチ先輩を誘いたいらしいので付いていくことにした。
なんていうか、ポリスくんはライチ先輩が好きだ。からかいの対象として。
図書室に入るとキリコ先輩しかいなかった。ライチ先輩はわざわざ使い魔を私につけて、ポリスくんがライチ先輩の名前を出した瞬間寮に戻ったらしい。
「残念です。キリコ先輩はホラーに興味は「ないかな」
また振られてしまった。悲しい。
またポリスくんと二人っきりコースかーと呟くと、不満ですかと聞かれた。
「不満じゃないけど、怖がる人がいた方が楽しいでしょ。私も君も」
ポリスくんは否定しなかった。なので勝手に肯定と受け取る。
私も彼も性格悪いなーと思いながら、私の部屋に向かった。