「謹賀新年」とやけに綺麗な字で書かれた葉書が届いた。「今年もよろしくお願いします」という定型文のあとに鳥の足跡。
「ライチ……今年は酉年じゃないはずなんだが?」
大方届けてくれた"彼"のものであろうが、それにしても簡素だ。去年はありがとうぐらい書けないのか、アイツは。
いや、ライチのことだから御礼をしてやろうだなんて関係ではなかったという意思表示なのか。
「今年も、もう残り少ないはずだけどな」
あと少しで私もライチも卒業だ。その後なんて、それこそ宜しくするようなことはないだろう。それでも宜しくと書いて来たか。
「さて、私の送った年賀状にどんな反応を寄越すかが楽しみだ」
簡素な届きものに、口角が緩んだ。
「ライチから届いたぞ……」
「おお、ライチ先輩からか。何て?」
「ほらポリスの」
「一人一人にあるんだ」
二枚同時に届けられた葉書の一枚をポリスに渡す。即吹き出した。
「え!超簡素!しかも今年は宜しくしたくないので関わるなとか書いてあるんだけど」
ちなみに俺の方は今年も期待していると書いてある。宜しくしたくはないが薬草は寄越せとか横暴だなアイツ。
「ていうか酉年じゃないんだけど」
「使い魔のだろ」
「だろうなー」
にしても、男にしちゃ綺麗すぎる字だわ。根が真面目なアイツっぽいけどな。
「ライチ先輩からだ」
「昨年はお世話になりました。今年はお世話にならないことを願います。宜しく」という丁寧で綺麗な字。
今年はお世話になりたくないのか……とちょっと凹む。
結構楽しかったんだけどなぁ謎のあの集団として過ごすの。まぁキーコ先輩とライチ先輩が卒業したら叶わなくなってしまうかもしれないから、お世話になることはないかもしれないけど。
「あーでも、なんだかんだポリスくん辺りが色んなことしてくれそう」
そういう意味でお世話になりたくないのかも。ライチ先輩だし。
今年も楽しませてくださいね、ライチ先輩。
ポンッという音が響く。
「あけましておめでとう、タカ」
眼鏡をカチャリと外して微笑んだ先には一人の青年。ムッとした顔だ。
「オレをカウントダウン変わりに使うなよ」
「今年もよろしく、タカ」
「話聞けよ。まぁ、今年もよろしく、ライチ」